ルネオバの なんだかねぇ・・

山歩きの簡単レポなど・・・

遥かな尾瀬 2日目 燧ケ岳へ 

2015/10/20
Tue. 21:27

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▲沼尻から朝の尾瀬沼


尾瀬二日目。
その昔断念した燧ケ岳に登れたことはもちろん嬉しかったのですが、
それよりもっと印象深かったのは、衝撃的な出来事に遭遇してしまったことでした。



それは、尾瀬沼畔、沼尻(ぬしり)にある沼尻休憩所の火災消失現場に出くわしたこと・・。
朝、休憩のために立ち寄った休憩所、帰りには跡形もなく燃え落ちていたのでした。
2日目レポ、ささっと。


・・・・
■山行日■ 2015年9月21日 晴れ
■行き先■ 尾瀬 見晴から燧ケ岳、尾瀬沼
■コース■ 見晴5:30――6:55沼尻7:15――9:25俎嵓――9:40柴安嵓10:55――11:10俎嵓11:25――13:55尾瀬沼ビジターセンター14:35――15:10沼尻――16:50見晴

・・・・・

今日の晴れを約束するかのような尾瀬ヶ原の朝霧を木の間隠れに観ながら、見晴から尾瀬沼に向かう。
見晴から燧ケ岳直登の見晴新道は、H25年の台風被害で通行止め、尾瀬沼回りでしか登れない。

5:30 見晴出発

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尾瀬沼、沼尻(ぬしり)まで、4,5キロ。
白砂峠まで緩慢な登りをこなし少し下ると、朝霧に包まれた小さな湿原、白砂湿原だ。
霧の中から白い太陽が姿を見せ、池塘にも眩い朝の光が。

その幻想的な美しさに、脚が止まる。

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すぐその先は尾瀬沼の沼尻(ぬしり)だ。


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木道の向こうに沼尻(ぬしり)休憩所。
その先には、尾瀬沼が広がっているはず・・・。
逸る心を抑えて木道を進むと・・・
朝の光の中に、銀色の湖面が広がっていた。


6:55~7:15 沼尻(ぬしり)休憩所


 
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▲沼尻休憩所テラスから尾瀬沼


清冽な空気の中、ひっそりと静まり返る湖面。
言葉を失くすほど美しい眺めだった。

ここ沼尻は明治時代尾瀬を開山した平野長蔵が最初に小屋を建てた所らしい。
その後、小屋が沼の東岸に移ってからは休憩所として登山者たちに憩いの場を提供してきた歴史のある小屋。

休憩所の売店や喫茶室は既に営業しており、コーヒーの芳ばしい香りが漂っていた。



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すぐ側の木立の中のトイレをお借りする。

壁には、
「沼尻に公衆トイレ設置の許可が下りず、長蔵小屋が私費で建てたこと。
こんな小さなトイレ建設にも1000万もの大金がかかったこと。
環境への影響を最小限に留めるために、排泄物等の処理を空輸に頼るしかなく維持に莫大な費用がかかること。」
そんなことが書かれていた。

そんな貼り紙を読みながら、いつになく身の引き締まる思いで協力金を投入する。
数時間後、この小屋を襲う悲劇のことなど知る由もなく・・。

・・・・・ 

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休憩所の前から燧ケ岳へ直登のナデッ窪ルートを山頂に向かう。

 

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尾瀬ヶ原より200メートル程標高の高い尾瀬沼。
その分、草紅葉は更に進んでいた。

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更に色付いたキンコウカ。
朝日の中に金色に燃え上がる。

・・・・・



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 ナデッ窪は想像通りのハードなルートだった。
展望のない樹林帯の中、石を掴みながらぐいぐいよじ登る。
途中から下に尾瀬沼が見え始め、一頑張りで長英新道との分岐。


9:10 長英新道分岐。

ここで初めて山頂を見ることができるのだけれど、すぐ上にあるはずの燧ケ岳、俎嵓(まないたぐら)のピークはガスの中。
今日も昨日と同じように燧の山頂は雲に隠れては、また一瞬その姿を見せる・・そんな感じだった。



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俎嵓手前から尾瀬沼を見下ろす。
ガスの切れ間から時折沼が覗く。



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9:25 俎嵓山頂

登山者で鈴なりの山頂。
北側から押し寄せるガスで展望も何もなく・・。
ガスで何も見えないけれど、とりあえず、すぐそこにあるはずのもう一つのピーク、柴安嵓に向かうことに。


前後の登山者に挟まれぐいぐい下り、ぐいぐい登り返すと柴安嵓山頂。


9:40~10:55 柴安嵓(昼食)

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西側、見下ろすとガスの切れ間に尾瀬ヶ原。
でも、やっぱり北側から次々に押し寄せる雲でぼんやり霞んだままだった。


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箱庭のような尾瀬ヶ原とその向こうに至仏山
原の手前中央には、朝出発した見晴の小屋の屋根も見える。


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南側には銀色に尾瀬沼。
雲が多くすっきりとは見えなかったけれど、その向こうに男体山から日光白根山など、見覚えのある山々が連なっていた。
も少し、も少し雲が晴れないかと早めの昼ご飯にカップ麺を食べながら1時間以上も粘る。
でも、雲がすっきり切れることはなかった。

それにしても、さすがのシルバーウイーク!
次々に押し寄せる登山者でもの凄いことに!


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向こうに俎嵓。
柴安嵓から引き返す頃になって、やっと向こうの俎嵓がガスの中から姿を見せた。


11:10~11:25 俎嵓


・・・・・・

下山は尾瀬沼東岸への長英新道をとる。
だらだらと長いルート(らしい)、おまけに、見晴に戻るにはかなり回り道になるけれど、やはり長蔵小屋に寄ってみたかった。



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12:00 ミノブチ岳

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この写真を撮影したのが12;03。
この時は注意して見たわけではないけれど、後から確認すると沼尻の休憩所の建物が小さく写っていた。(赤矢印)
そして、この数分後出火。
山頂からでもはっきりと見えるくらい燃え上がる炎に包まれ、みるみるうちに焼け落ちてしまったことを後から知ることになる。

・・・・・




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長英新道はやっぱり長かった。
それなりに色づいた木々を眺めながら、そして、下の方は静かな針葉樹の道ではあるけれど、
中腹から下のだらだらと緩慢な道の長いことといったら・・。


1時間半近く下り、やっと、やっとのことで尾瀬沼畔に。




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左、800メートルの長蔵小屋、ビジターセンター方面に。

・・・・・・

大江湿原の手前で思わず立ち止ってしまう。
ここだったんや・・・。

10メートルほど下に広がる湿原。この眺めに見覚えがあった。
昔の写真で印象的な1枚。どこで撮影したのかとんと覚えていないけれど、湿原の真ん中を貫く木道から大きく手を振っている写真。
通りがかりの方にシャッターを押していただいたのだろう。
まるで空撮でもしているかのような1枚だった。


ozeimg001c2.jpg

数十年を経て、その写真と同じ景色が目の前に広がっていた。
で、早速、昔と同じように木道の真ん中から手を振って相方に撮ってもらったのだけれど・・。


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けれど・・・
同じ所で同じように手を振っていても、そしてこんなに離れていても数十年の歳月は歴然として分かるのだ。
木道の真ん中で手を振っているのは、くたびれたオバチャン・・(×_×;)。

でも、よく見ると、後ろの木立の佇まいが何十年を経てもそんなに変わっていないような気がするから不思議・・。

 
・・・・・


長蔵小屋手前、大江湿原。

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湿原の向こうの木立から燧ケ岳が顔を出す。

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13:55~14:35 尾瀬沼 長蔵小屋休憩所


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長蔵小屋休憩所から沼越しに燧ケ岳。




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長蔵小屋は尾瀬の歴史を振り返る時、抜きには語れない小屋だ。
その昔訪れた時も、感慨深く眺めた記憶がある。

長蔵氏の孫にあたる三代目の主人平野長靖氏。尾瀬の自然を守るために父長英氏と共に力を尽くされたらしいが、雪の三平峠で吹雪に巻かれ若くして命を落とされた。
その長靖氏の遺稿集 『尾瀬に死す』 を夢中になって読んだのも丁度この頃だったと思う。



・・・・・・

沼尻まで戻ってきた時だった。
前を歩いていた相方が突然立ち止り振り返る。
「沼尻の休憩所でコーヒー休憩しような」と歩いてたのに、どうして止まるの?左やで。

「無い・・・燃えてしもてる・・・」

相方の言葉に、その方角に目をやると、あるはずの休憩所が無かった。
朝休憩した小屋が、テラスからあの美しい尾瀬沼を眺めた休憩所が忽然と消えていた。
事態を理解するには数秒かかった(・・と思う)。


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プスプスと白い煙を上げ燻り続ける残骸。
まるで焚火の跡のように、小屋の原型を留めるものは何一つ、柱ひとつベンチひとつさえ残っていなかった。

足元には立ち入り禁止のテープ。
現場検証をしているのだろうか、焼け跡に数人の人影が佇んでいるのが見えた。


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・・・・・・・



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沼尻で休憩できなかったのですぐ先の白砂湿原で足を休ませる。
振り返れば木立の上にはやはり青空、アクセントを添える白い雲。
尾瀬沼の湖面も遠く光っている。

あの木立の向こうにはつい数時間前まで小屋があったのだ。
その小屋を襲った悲劇。
でも、そんなことがあったなんて信じられないくらい、目の前には長閑な美しい秋の湿原が広がっていた。


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16:55 見晴テント場到着


・・・・・・・・


ご飯の支度をしながら、ふと何かの気配に顔を上げると木立の向こうの西の空が燃えていた。
わーー!
ちょ、ちょっと行ってくるわ!
慌ててコンロの火を消し、尾瀬ヶ原を見渡せる弥四郎小屋へと走る。



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ついさっきまでぼんやりと灰色の雲に覆われていた空。
それが、一瞬のうちに真っ赤に燃え上がっているのだった。
あちこちの小屋からもバタバタと人が飛び出してくる。


燃える空。
朱く染まる草紅葉。
その真ん中にぼんやり白く続く木道。
その先には、中腹に白い雲をたなびかせた至仏山が横たわっていた。

みんな一様に、空を見上げていた。
呆けたように立ち尽くしていた。
真っ赤な空が次第に色褪せ、薄紫になりやがて夕闇に沈んでいった。

2015-9-21-c2.jpg 



〇プロローグ『遥かな尾瀬』
〇昔のアルバムから 『セピア色の尾瀬』



3日目レポ⇒こちら

1日目(鳩待峠から見晴、三条の滝)レポ⇒こちら






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コメント

どれもこれもイイお写真っすね。

夕飯も美味しそう。

軟弱kama #- | URL | 2015/10/30 03:10 * edit *

Re: タイトルなし

> kamachanさん

軟弱?
まだ意味をご存じないんですね・・ ┐( -_-)┌

> 夕飯も美味しそう。

え~・・前日が、焼き肉風野菜炒め、
で、この日が、すき焼き風野菜煮込み。
どっちも似たようなモンやん、芸無いな~・・なんて言わないでくださいね (⌒~⌒;)

いつも言ってますが、
カメラ技術もセンスもなく、おまけにカビの生えたおんぼろカメラではね・・
いいカメラ欲しいーー!!
手取り足取り教えてくれる先生が欲しいーー!!・・です(>Д<)

ルネオバ #- | URL | 2015/10/30 13:03 * edit *

Re: 遥かな尾瀬 2日目 燧ケ岳へ

現実と過ぎ去った尾瀬!感無量ですね~
私?相変わらず過ぎ去った!髪の毛と現実!
髪バック!
里山脱走してますよ~~~

ハゲ太郎 #- | URL | 2015/10/30 17:17 * edit *

Re: Re: 遥かな尾瀬 2日目 燧ケ岳へ

> ハゲちゃん

ご無沙汰しています m(_ _)m
忙しい合間を縫って、うろうろ(失礼!)徘徊(再度失礼!)を再開されたんですね~ヽ(^Д^*)/
mixiもとんとご無沙汰なんですけど、先日ふらりと覗いた時、拝見しましたともさ!
やっぱりハゲちゃんさんの山野草の画像はちょいと違うわ~・・と感心しきり!

けど・・

> 髪バック!

come back?
う、上手い!座布団一枚!!・・・・ないない ( ̄~ ̄;)

ルネオバ #- | URL | 2015/10/30 20:39 * edit *

Re: 遥かな尾瀬 2日目 燧ケ岳へ

尾瀬沼の画像が美しいです!
ん十年ぶりの航空写真風な画像も良いカンジですねー
でも、雨に打たれ続けて、やっと訪れた憧れの尾瀬
その一瞬の喜び、そんな青春の一コマが凝縮された
ん十年前の画像には勝てませんね^^
こんな画像が想い出とともに残ってること
その足跡をこうして再び追うことができたこと
ほんと羨ましいです。

スロ #T1BNin.E | URL | 2015/10/30 23:16 * edit *

Re: Re: 遥かな尾瀬 2日目 燧ケ岳へ

> スロトレさん

> こんな画像が想い出とともに残ってること
> その足跡をこうして再び追うことができたこと

本当にそうですね。
こうして昔辿った道を想い出を手繰り寄せながら歩けること、幸せだと思っています。
若かりしあの頃、巡り会ったすべてのことが
今となってはキラキラ輝いて見えるのよね
ま、そんなカビの生えた想い出なんて、な~んの役にもたたないんだけど・・・ ( ̄~ ̄;)

スロトレさんの尾瀬も、いつか懐かしく想いだす日がやってくるんでしょうね~

ルネオバ #- | URL | 2015/11/01 22:33 * edit *

Re: 遥かな尾瀬 2日目 燧ケ岳へ

ルネさん、こんにちは~
昨夜は酔っ払いながらオモシロ記事の方に先にコメントしてスイマセン(^_^;)

もうみなさん書かれていらっしゃるのでアレですが、
いつも思うのですが、ホント、どれもこれもルネさんの写真は素敵ですね。
やっぱり何事も「センス」ですね♪

遠い昔の写真とメモ、とても心に沁みました。
たくさんの山を歩かれていらっしゃるからこその、
一言一言に重みを感じました。

そして女子二人の空撮のような写真もいいですね~
凄く素敵で大切な一枚ですね、この一枚であの日の事が
ぐるぐると廻ってくるんですよね、きっと。
私も同じようなことを尾瀬でしてました。
私の場合は父が他界してから(山登りしていたことを知らなかった)
見つけたアルバムに合った一枚の写真の場所を確認したくて、
初めて尾瀬に行ったのでした。
http://blog.goo.ne.jp/cyu2xxx/e/39ef1f2df927860398dc9c9f0c30dc36

長々書き込こんだ挙句、無理矢理リンクまで貼ってスイマセン・・・
(ーー;)

ルネさんの記事や写真を拝見していると、
もっともっと、山で色んな瞬間に出会いたい!
と欲深くなる私であります。


cyu2 #qbIq4rIg | URL | 2015/11/07 12:06 * edit *

Re: Re: 遥かな尾瀬 2日目 燧ケ岳へ

> cyu2さん

もう、ちゅちゅさんったら・・・
リンクしていただいた尾瀬記事、そして、その後のちゅちゅさんの尾瀬山行レポ、
ぜ~んぶ読んでしまったじゃありませんか!
いえ、もう、大人気のブロガーさんにこんなこと言うのもおこがましいのですけど、
ほ~んと、読ませますね~!!
一緒に山を歩いているような気持ちになりました。

お父様の一枚の写真の風景を探し求めて尾瀬へ・・。
何て素敵なお話しでしょう。
そして、お父様が山を諦められたエピソード・・。
胸がきゅんとなりますよ。
お父様の分も山、いっぱい歩いてくださいね!

あ、サントリー招待の山行レポ、リンクエラーで他のレポに飛んでしましましたよん。
さ、これから探してみよ・・っと (^з^)~♪
コメントありがとうございました!

ルネオバ #- | URL | 2015/11/08 21:02 * edit *

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